社内ブログや社内SNSだけではなく、企業内での利用を目的としたソーシャルソフトウェアが色々と出現し始めています。
ソーシャルニュースサイトnewsingを提供するマイネット・ジャパンの取締役である、綱島氏に、社内ソーシャルニュースの可能性についてお話しを伺いました。
―突然ですが、綱島さんは元プロキックボクサーだそうですね。
はい(笑)。以前は昼間はエンジニアとして働いて、夜はキックボクシングの練習をしていました。
MA日本ウェルター級7位でした。
―プロのキックボクサーがベンチャー企業を設立することになったのでしょうか
マイネットジャパン代表取締役の上原は学生時代の先輩なんです。
私は、大学を卒業して2年ほどフューチャーシステムコンサルティングというコンサルティング会社で働いた後、フリーのエンジニアをしていましていました。
上原とは2004年12月頃から起業の準備をしていたんです。2006年の4月ごろから仲間を集めてnewsingを開発しました。
―マイネット・ジャパンさんについて紹介ください。
設立は2006年7月です。newsingというソーシャルニュースサイトを開発・運営しています。
現在は大きく分けて3つの領域で事業を行っています。
一つ目はnewsing等のソーシャルサイト関連のソーシャルメディア事業、2つ目は携帯サイト作成ASPサービスKatyのモバイルサービス事業、そしてWebシステムの受託開発やWebマーケティングに関するコンサルティングを行うソリューション事業です。
―ソーシャルニュースとは何ですか?
弊社ではニュースサイトを次のように説明しています。
「ただ読むだけのニュースサイトではなく、ユーザー自身が面白いニュースやブログ記事を探し出し、みんなでそれにコメントや投票をしてニュースの価値を決めていくサイトです。」
ユーザーがピックアップしたニュース記事に対して、他のユーザが投票によって価値をきめます。トップページでは得票ポイント順にニュースがランキング表示されており、多くのユーザーが注目しているニュースを簡単にチェックすることができます。
ブログやSNSによって情報の発信量が爆発的に増大しました。
ソーシャルニュースを使えば、情報感度の高い人がフィルタ役となって、玉石混交の膨大なネットの情報から、有用な情報を高精度で収集することができるのです。
―ソーシャルニュースとソーシャルブックマークの違いは何ですか?
機能上の違いはいろいろあると思いますが、ユーザー心理が大きく異なると考えています。
ソーシャルブックマークはユーザーが自分自身の整理のために利用するものと捕らえています。ブラウザのブックマークの代替です。
一方で、ソーシャルニュースはユーザーがみんなのためにニュースをピックアップします。自分がピックアップしたニュースへの反応が見たい、自分が一番にニュースをピックアップしたい、という気持ちで利用するのです。
はてなブックマークなどでもニュースやブログ記事へのコメント代わりにブックマークするユーザーも多いようですが、newsingではよりコミュニケーションを重視した設計を考えています。
―newsingのターゲットユーザー像は?
newsingのコンセプトはSocial News for bizです。
つまりビジネスパーソンのみなさんに使っていただきたいと考えています。
弊社の代表取締役上原と社外取締役である保田がRTCカンファレンスという勉強会議を主催しています。
RTCカンファレンスのテーマは、ネットや金融、キャリアなどビジネス全般におよびます。newsingではこのRTCカンファレンスへの参加者をモデルユーザー像としています。
参加者は一般のビジネスパーソンですが、常に世の中の新しい動きにアンテナを張っている情報感度の高い人が多いようです。
―現在の利用状況はどれくらいでしょうか?
現在、サービス開始から約半年ですが、登録ユーザー3500人、月間PVが430万、月間UUが75万という状況です。
登録ユーザーに対して、非登録のユーザーが圧倒的に多いのが特徴です。
私たちはこれを情報発信における1:9:90の法則と呼んでいます。つまり、積極的にニュースをピックアップする人は1%、ピックアップされたニュースにコメントするのは9%、閲覧するだけの所謂ROMの人は90%という比率です。
今後はモバイル機能などを強化することで登録ユーザー数を増やしたいと考えています。
―ソーシャルニュースの社内利用ニーズがあるとお考えとのことですが、その理由は?
効率よく短時間で最適な情報を集めることは、忙しいビジネスパーソンにとって非常に重要です。
企業内ソーシャルニュースを導入することで、その企業にとって重要なニュースだけを、効率よく社内で共有することができるようになります。
ニュース元は、社外のニュースはもちろんのこと、企画・提案書など社内情報も対象にしようと考えております。
必要なニュースは同じ企業内でも部門ごとに異なるでしょう。ソーシャルニュースの仕組みをうまく使えば「営業部の社員が読んでおくべきニュース」など、部門単位で重要度の高いニュースをランキングをすることも可能です。
社内利用においても1:9:90の法則が当てはまると我々は考えており、「90」の閲覧だけのROM社員がいかに使うツールとなるかが社内ソーシャルニュース
の成功の鍵だと思っております。
「1」や「9」の社員は情報感度の高い人であると思われるため自ら積極的に情報収集を行なうと思うのですが、「90」の人はとりあえず社内ソーシャルニュース
を見ておけば、社内でホットなニュースを把握することができるという仕組みが理想ですね。
1990年代後半のKMブームでなかなかうまくいかなかった理由の一つが「結局使われない」だったと思います。
我々は、「90」の人に役に立つツール=社内で「使われる」ツールを実現したいと思っております。
実は既にあるコンサルティング会社に試験的に導入して使ってもらっています。この会社では非常に高いクオリティでニュースが蓄積されています。ニュースリストを有料で配信できるのではないか、と思えるほどです。
社内SNSや社内ブログが普及しはじめていますが、ソーシャルニュースも企業内で非常に有効なツールになると考えています。
―ありがとうございました。
※5/2追記
4月24日にnewsingのイントラ版がリリースされました。
【プレスリリース】国内初の社内ソーシャルニュースパッケージ『イントラnewsing』をリリース
丹野瑞紀(たんの みずき) ベンチャー企業ではたらく男のブログ |
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