ネット職縁社会がやって来る!!
-感情共有による企業競争力の向上に向けて-
多岐にわたる楽しく興味深いお話しを沢山していただきました。その中から幾つかの話題を取り上げてレポートしたいと思います。
「J-SOX(日本版内部統制)法の対応でも、社内ブログ/SNSは重要」「知識のない社員は淘汰される時代」「これからは自立的な行動が社員に求められる。」「親和欲求の段階から自己実現の段階に。」
と、これからの環境を社会の視点と個人の視点からご説明いただき、講演はスタートしました。
★ 新しい暗黙知
暗黙知は二種類存在する。技巧的側面と認知的側面だ。技巧的側面というのは、所謂、職人の技(手の技)ということであり、認知的側面というのは、メンタルモデル、強い信念が生み出す新しいアイデア作りということだ。
中国などが世界工場を名乗りあげてくる時代、手の技だけでは競争優位に立てなくなってきた。そこで、暗黙知の(認知的側面への)切り替えが必要になってきたのだ。
ブログ/SNSでは、物語を書いて自己表現を行なう事で、社交の場となり、ゆるやかなつながりが出来る。
谷垣財務大臣の“絆(きずな)社会の提唱”というのも正にこれを求めているのだ。我々は、サプライチェーンマネジメントをやりすぎ、効率化を求めすぎた。そして今、再び人間関係論に傾き始めたということだ。
★ 社内ブログの感動が社員を元気にする時代
社内ブログの感動、感情の波・・・感動が伴ってこそ情報は行動に繋がる。実際に成功している日本のネットワークコミュニティの半分は、社交を通じた感情の共有に力を入れている。
何故、ネット上で、雰囲気や風土が変わるのか?
「自己開示」が行ないやすいことがポイントだ。
・ ベテラン部長が質問し、入社二年目の女子社員が答える
・ 九州支社の社員が質問し、北海道の若手が答える
ネットで水平な人間関係ができることで、対面では問題のある「同調効果、集団浅慮、自己開示の抑圧」を超えることができるのだ。
★ 感情の共有(ラポール=親密度)が重要な時代
マイミクと言う言葉には、心理学で言うところの『役割効果』がある。
ここには単純接触の原理が働いており、単純接触を繰り返すことで感情の共有が自然に行なわれていくのだ。
自己開示により知り合いの輪が広がる・・・お互いの自己物語を毎日読んでいる・・・感情の共有がすすむ・・・
そして、仲間による受容、共感、同調が明日への活力となり、親和欲求、認知欲求が満たされ、『セルフヘルプ・グループ』が自然発生してくる。
ナレッジマネジメントには、信頼関係が必須であると言われてきたが、このように、ブロードバンドの仕組みが信頼関係(ラポール)を支え始めたのだ。
★ Web1.0アプローチとWeb2.0アプローチ
女性の育児休暇、産休対策にOG(退職者)を活用する男女共同社会対策の例
● Web1.0アプローチ
リクナビのようにデータベースに退職者を登録し、社員の産休、育児休暇発生時に電子メールで応募を促す方式を行なった。
結果、上手く機能せず、応募者もほとんどいなかった。
この例は、仕組みをプロダクトとして活用していると言う事で、Web1.0のアプローチだ。(システムを導入すれば解決すると思ったら大間違いということ)
● Web2.0アプローチ
退職者のソーシャルネットワーキングを立ち上げ、退職者の社交クラブを作った。
早速、同窓会が行なわれ、退職者の女性たちに楽しんでいただいた。
『今は働きたくない・・・でも来年は子供が手を離れる・・・』
そして、後輩の女性社員が育児休暇、産休時に助けて欲しい!となると・・・
この例は、上手く機能したということだ。
このアプローチで、ソーシャルネットワーキングが以下の要素を強化していることがわかる。
『好意の返報性』
『巻き込み効果』
『同調効果』
これが正にWeb2.0のアプローチだ。
コミュニティによる知恵だし、ブログと対面での自己表現、ドラマモデルを実現している。
以上、ここでは書ききれないほど、豊富で濃い内容のご講演でした。
参加者の皆さまのトラックバックも是非参考にしていただければと思います。
山崎さま、大変貴重なご講演ありがとうございました。
(文責:戸上浩昭)
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